中性子センターの概要

中性子は、物質科学においていくつかの重要なメリットをもっています。すなわち

(1)水素、酸素、リチウムなどの軽元素を高精度で容易に観測できる
(2)磁性体の磁気モーメントを観測できる
(3)原子核や磁気モーメントの時間的揺らぎ、空間的変化を同時に測定できる
(4)透過力が大きく、ほとんどの物質で内部まで観測できる。

これらの性質は、継続して発展する社会に不可欠な高性能環境材料(燃料電池、水素貯蔵物質、リチウム電池、希土類フリー永久磁石など)の開発において、他の手法にはできない重要な情報をわたしたちにあたえてくれます。東北大学、とくに金研は、中性子を用いた物質科学の世界的拠点であり、長い伝統と実績をもっています。 中性子物質材料研究センター(中性子センター)は、この伝統を背景に、中性子の高度な利用によって物質科学のさらなる飛躍をうみだし社会に貢献するために設立されました。

中性子センターは、日本原子力研究開発機構の実験用研究炉JRR-3に2台の特色ある中性子実験施設をもっており、世界的にも恵まれた実験環境をほこっています。また、2008年に稼働を開始した大強度陽子加速器施設J-PARCの物質生命研究施設MLFに、新しい中性子実験装置を建設するべき、計画をすすめています。これらの装置を駆使し、また金研のもつ物質開発力により、それらの装置を世界最高レベルにすることで、世界でも金研でしかできない研究を実現しようとしています。