HERMESが得意な事○:酸化物の磁気構造、結晶構造の同時決定 ○:Uなど重い元素を含む化合物中の軽元素の構造決定 ○:3d,4f化合物の磁気構造決定 ○:単結晶での磁気散漫散乱 ○:液体、アモルファスなどでの7A-1以下でのS(Q)測定 ○:微少量試料(50mg)の構造解析 |
装置としてはQ~0.1A-1まで測定はできますが、低角の空気散乱などのため、きれいなデータとして使えるのは、Q=0.2A-1以上の領域だと思います。
これらの元素は吸収がきわめて大きく、遮蔽材として使われるほどです。ですから、HERMESをもってしても、そのままでは実験不可能で、吸収が小さい同位体に置換する必要があります。同位体置換なしの申請は確実にrejectされます。ただし、ユニットセルが大きい化合物は全体の線吸収係数が小さくなっている可能性があります。線吸収係数が30cm-1なら実験は可能かもしれません。しかし、Smは磁気モーメントが小さいので、それでもやはり不可能だと思います。
HERMESでは磁気モーメント約0.2 mBのブラッグピークの有無を確認する事は可能です。しかし、せいぜい最大強度のピーク1本くらいしか見えませんので、磁気構造を決める事は無理だと思います。
原理的には単結晶でも2次元測定が可能ですが、時間がかかりすぎます。
HERMESは大部分を鉄で作ってありますので、高磁場(>4T)の実験はできません。危険です。また、HERMESグループは自前のマグネットを持っていません。
HERMESグループは700K以上にあげられる高温炉を所有していません。ただし、高温炉持ち込みなら実験可能です。
高圧セルを用いた実験は、バックグランドが高すぎるので、データになりません。ユーザー側で特殊なセルとバックグランド対策をする必要をする必要があります。何の工夫もなく申請しても採択される可能性はほとんどありません。
HERMESの構造上、なにがなんでも150度範囲のデータを測定します。たとえば、ピーク1本だけを測定すれば十分なので他の領域のデータはいらない、といわれてもそれは無理です。
HERMESはただの粉末回折装置です。非弾性散乱を測らせろ、といわれてもそれは無理です。