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HERMESの得手と不得手


UpDate: 18-JAN-2001


ここでは、HERMESが得意とする実験、およびHERMESでは不可能か、非常に困難な実験について説明します。

HERMESが得意な事


○:酸化物の磁気構造、結晶構造の同時決定

○:Uなど重い元素を含む化合物中の軽元素の構造決定

○:3d,4f化合物の磁気構造決定

○:単結晶での磁気散漫散乱

○:液体、アモルファスなどでの7A-1以下でのS(Q)測定

○:微少量試料(50mg)の構造解析



HERMESではできない事


○:Q<0.2A-1の測定
装置としてはQ~0.1A-1まで測定はできますが、低角の空気散乱などのため、きれいなデータとして使えるのは、Q=0.2A-1以上の領域だと思います。

○:Sm, Gd, Cd, Bを含む化合物の測定
これらの元素は吸収がきわめて大きく、遮蔽材として使われるほどです。ですから、HERMESをもってしても、そのままでは実験不可能で、吸収が小さい同位体に置換する必要があります。同位体置換なしの申請は確実にrejectされます。ただし、ユニットセルが大きい化合物は全体の線吸収係数が小さくなっている可能性があります。線吸収係数が30cm-1なら実験は可能かもしれません。しかし、Smは磁気モーメントが小さいので、それでもやはり不可能だと思います。

○:磁気モーメントが0.2 mBの磁性体での磁気構造決定
HERMESでは磁気モーメント約0.2 mBのブラッグピークの有無を確認する事は可能です。しかし、せいぜい最大強度のピーク1本くらいしか見えませんので、磁気構造を決める事は無理だと思います。

○:単結晶でのブラッグ2次元測定
原理的には単結晶でも2次元測定が可能ですが、時間がかかりすぎます。

○:磁場5T以上での測定
HERMESは大部分を鉄で作ってありますので、高磁場(>4T)の実験はできません。危険です。また、HERMESグループは自前のマグネットを持っていません。

○:700K以上での測定
HERMESグループは700K以上にあげられる高温炉を所有していません。ただし、高温炉持ち込みなら実験可能です。


○:粉末試料の高圧実験
高圧セルを用いた実験は、バックグランドが高すぎるので、データになりません。ユーザー側で特殊なセルとバックグランド対策をする必要をする必要があります。何の工夫もなく申請しても採択される可能性はほとんどありません。


○:ピーク一つだけの測定
HERMESの構造上、なにがなんでも150度範囲のデータを測定します。たとえば、ピーク1本だけを測定すれば十分なので他の領域のデータはいらない、といわれてもそれは無理です。


○:非弾性散乱
HERMESはただの粉末回折装置です。非弾性散乱を測らせろ、といわれてもそれは無理です。


実現不可能な実験は、学術的価値にかかわらずrejectされます。



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HERMESでの実験の実際

updata : 18-JAN-2001


平均的マシンタイム:1グループあたり:2、3日


標準的な結晶構造解析の場合(遷移金属酸化物)

標準的な磁気構造解析の場合(遷移金属酸化物)

測定条件: Q領域 : 0.3A-1 < Q < 7A-1
温度領域: CTI冷凍機 : 10 K ~ 300K
4K冷凍機 : 2.2K ~ 100K
wide 冷凍機: 20K ~ 500K


高温炉 :300K ~ 700K


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